岐阜市議会議員 まつばら和生

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立命館・市岐商問題について

「立命館の誘致を求める請願」への松原和生の賛成討論(一部加筆)です。
私の考え方をまとめ訴えました。ご一読いただければと存じます。

 民主・未来を代表して、「学校法人立命館の誘致を求める請願」について賛成の討論を行います。
 教育委員会は「市岐商が設立された当初の目的から乖離した現状や、ますます進む少子化など取り巻く状況を鑑みると、将来に明るい展望が描けず、将来的に廃止も止むを得ない。」との結論を出しました。そして「廃止の結論を得た以上、問題をいつまでも放置することなく、設置者の責任として、廃止の条件、方法、時期等について、速やかに検討を始めるべきである。」としています。そこに、現在、学校法人立命館から市岐商を引き継ぎたいとの提案を受けている訳です。

 市岐商には、中学時代の同級生も数多く進学しており、母校を無くさないで欲しいという声が、この間、私にも何度も…幾つも…寄せられました。母校を思う友人の真っ直ぐな気持ちに思い悩んだことも事実であります。一方で、岐阜市の未来のために立命館の誘致を進めるべきだと言う意見も、また多くの市民から寄せられました。その両方の声はこの2年間、私のみならず、おそらくこの議場の全ての議員に寄せられているものと思います。しかし、難しいことにこの2つの思いは両立することが出来ません。私は市岐商ゆかりの友人に言いました。今日までの素晴らしい実績を否定するものではない。市岐商デパートや甲子園での活躍など様々な成果を評価している。しかし、私は市議会議員の責任として、10年、20年先、岐阜市の将来にとってどちらが最善の選択かという視点で判断をしなければならないと。その熟慮の結果が本請願への賛成であります。

 数年前に、少子化によって岐阜三田高校と岐阜藍川高校が統合して岐阜城北高校となり、本巣高校と岐陽高校も本巣松陽高校となったように、残念ながら時代の変化は止めることが出来ません。本来、高校教育は県、義務教育は市町村という役割分担がある中、特別に必要性があるとして守備範囲から足を踏み出して40年前に設置に踏み切った市岐商の建学時の目的(問屋町など市内中小企業の後継者を育成し、地元で活躍してもらうための商業の高校…)は、繰り返し議論されてきたように、市内通学者の減少(50%以下)、進学志向の高まり(60~70%が進学)、市内就職率の低下(15%程度)等々によって大きく事情が変わりました。本市の財政的な余裕もなくなっています。

 立命館は提案の中で、市岐商の受け皿となって輝かしい伝統をできる限り継承する(了解があれば同窓会事務局なども含め)、移管時に在校する生徒には学費など不利にならない取り扱いをしながら引き継ぐと約束しており、市岐商の単独廃止によって鏡島・市橋地区に広大な空き地だけが残り、歴史が完全に途絶える最悪の結末を防げます。私にも2人の小学生の子どもがいますが、市内の子どもたちにとってより良い選択肢が増え、新しい時代の教育環境が充実します。また、魅力ある有名私学の誘致は他都市から岐阜市への居住を促す大きな要素となり、有効な都市活性化策になると考えられます。

 土地の無償貸与、建物の無償譲渡の是非についての意見もありますが、他都市でも誘致の条件として多数の先例がある他、近い将来に必要な最低でも20~30億円とされる校舎の建て替え費用や年間4億円の市岐商に係る市費負担の軽減はもちろん、賃貸料を上回る様々な経済効果のプラスが期待されます。建物の無償譲渡については、耐震に劣る校舎の解体工事費用を先方に負担してもらう結果にもなるものです。

 これまで本議場において、手続き論や、いつ誰に会った、言った言わないなどの質問も繰り返されてきました。市当局に反省すべき点があれば、今後大いに反省してもらいましょう。しかし、本日の採決で必要なことは、岐阜市の未来をどうするかであります。もっと議論をという声もありますが、提案から2年が過ぎており、相手がある話の中で時間は止まってはくれません。

 まだ、この本会議でどういう結果が出るか分かりませんが、私の知る限り、議場の20~40歳台の年齢の議員の中では、誘致賛成がはっきり多数と思っています。これは若い経験不足からではない、子育てに係わる同世代の声を最も多く聞く機会があればこその判断と願いが込められているのだと考えます。

 フジテレビ系列の全国放送の番組「とくダネ!」の中で、立命館・市岐商問題が取り上げられました。議場でも交わされた賛成・反対双方の主張が、それぞれ公平にパネルにまとめて紹介されました。番組が市内の駅前でアンケートを行った結果では、総数50の内、誘致賛成が36、反対が14だったということです。出演者からは、誘致した方が良いのではという趣旨のコメントがなされていましたが、文教委員会での反対の結果が伝えられると、画面から驚きの声と「もったいない」という言葉が上がりました。さて、本会議の最終判断は?という締めくくりでしたが、この問題をしがらみのない冷静な目で見たときの、一般的な考え方ではないかと思います。

 市岐商にゆかりの皆さんの気持ちや熱意に思いを巡らせれば、正直に申し上げて、私にとっても苦渋の決断です。しかし、二者択一の図式になっている以上、いずれかを判断しなければなりません。問題の先送りによって、より良い展開は見込めません。立命館は、市岐商の在校生や伝統の継承について十分に配慮をすると言っておられますが、今後、市岐商関係者の思いに見合うより一層の対応を求めていきたいと思っています。

 10年、20年後に、あの時誘致しておけばよかったと悔いの残ることのない、将来に禍根を残さない結果となることを強く望みます。

 願意は妥当であり、子どもたちの未来、岐阜市の将来を見据え、「学校法人立命館の誘致を求める請願」の採択を主張して賛成の討論といたします。

平成21年3月議会の最終日、採決の結果、21対22のわずか1票差で立命館の誘致は退けられました。採決に参加できない議長は誘致派であり誠に惜しく残念な結果です。ご期待をいただいた多くの市民の皆様に力不足をお詫び申し上げます。今後とも、誘致に賛同した超党派の議員と改革派の細江市長とで力を合わせ、岐阜市の未来のために変わる勇気を持ちながら、将来を見据えたまちづくりに取り組んでいきたいと改めて思っています。ぜひ、皆様のご意見などをお聞かせいただきますよう宜しくお願いいたします。