◯22番 (松原和生君)
   それでは、発言の通告に基づき、順次お尋ねをいたします。
  まず初めに、地方公営企業会計制度の見直しに関連してお尋ねをいたします。
  地方公営企業の会計制度について昭和41年以来約46年ぶりに大幅な改正が行われ、平成26年度、つまり次回の作成の予算から適用されることになりました。
  民間企業の会計基準に近づけるための改正で、主な見直しの項目は、借入資本金の負債計上、補助金により取得した固定資産の償却、退職給付引当金等の計上の義務化、繰延資産の廃止、棚卸資産の評価がえ、減損会計の導入、リース会計の導入、セグメント情報の開示、キャッシュフロー計算書の作成などであります。
  会計の勉強会のようになりますので、一つ一つの説明はいたしませんが、財務諸表の中身がいろいろと厳しく変化します。財務体質に与える影響は甚大で、補助金により取得した固定資産の償却を開始することや投資額の回収が見込めなくなった場合、その価値の下落を反映させるという減損会計の導入などは場合によって大きなマイナスを発生させることになります。
  退職給付引当金の計上は年度ごとに費用を発生させるだけでなく、過去の積み立て不足を負債として一括計上することになり、その額は4会計で100億円とも思われ、財務体質を大きく悪化させることになります。
  これらの話は2000年代の初めに国際的な会計基準に合わせるため、民間企業が完全実施を迫られた会計ビッグバンと呼んで恐れられながら必死の対応を行った内容と似ていますから、倒産をしない公営企業だからといって安穏とすることはできないと思います。
  そこで、関係3部局を総括して、民間企業出身で民間の財務にも詳しい市長にお伺いをいたします。
  まず、改めて何が大きく変化をするのか。また、本市の4企業会計に与える影響はどうか。必要な作業の準備状況はどうか。そして、引当金の計上など影響を受けて財務体質が悪化する部分の今後の対応について、以上を市長にお尋ねをいたします。

  〔私語する者あり〕 
  次に、退職給付の在籍年数による会計間の精算についてお尋ねをいたします。
 一例でありますが、民間企業において22歳で入社したサラリーマンが40代の10年間を子会社に出向し、親会社に戻って60歳の定年を迎えた。この場合、親会社が退職金を支払うに当たり、出向期間の10年分を子会社に請求して精算するのが常識であります。出向先で定年になる場合や複数の関連会社に出向を繰り返す場合もあるでしょうが、基本的な考え方は同じです。もし仮にそうした精算を行わなかった場合、企業間における寄附とみなされ、黒字の子会社で全額負担させたような場合は税務署から悪質な利益隠しと指摘をされかねない話になるわけです。
  本市には、かつて交通事業会計というものがありました。市営バスです。ここでは運転手一筋の職員を58歳くらいになると一般会計に異動をさせ、毎年数億円の退職金を政策的に見えなくしていて、私も問題であると指摘をしたことがありました。
  新年度予算の中央卸売市場事業会計予算では、昨年ゼロであった退職手当が2人分の5,161万円計上されており、 突然、営業収益の1割近くを計上することで厳しい予算となっています。
  さて、さきの項目の質問で触れたように、公営企業会計において退職給付引当金の満額の計上が義務づけられることとなりました。独立採算を追求するという企業会計の趣旨に鑑みても今こそ精算について明確に実施すべきだと考えます。
  そこで、藤澤副市長にお伺いをいたします。
  まず、現在、企業会計との間で精算を行っているという自治体はどの程度あるのか。また、本市ではなぜ行ってこなかったのか。そして、公営企業会計制度の見直しで、退職給付の引き当ても義務づけられる中、今後のあり方についてどうされるおつもりか、以上、お尋ねをいたします。
  次に、市街地に出没するイノシシ対策についてお尋ねをいたします。
  つい数日前、新聞各紙に岐阜、各務原の市境で飼育イノシシが逃走、こんな事件が掲載されました。付近の小中学校や幼稚園には岐阜市と各務原市から注意を呼びかけ、山に逃げ込んだとされる尾崎団地の尾崎小学校では、保護者へ帰宅後も外出させないようにと注意を呼びかけているということです。
  下校は、通常の集団下校に教員らも加わって警戒を続ける中、男性がイノシシの突進を受けてけがをされたという続報です。また、岐阜市側の幼稚園では、園内の外遊びを中止して戸締まりをして室内で1日を過ごしたそうであります。
  半月ほど前には三重県津市のゴルフ場でプレー中の男性がイノシシに背後から襲われ、右足と尻をかまれ、何とかクラブを振って追い払ったが、600メートル離れた場所で別の男性が追いかけられ、左太ももを牙で突かれ、ともに病院へ運ばれたそうであります。襲撃したイノシシは当日中に射殺されました。
  大型のイノシシが岐阜公園や伊奈波神社周辺に頻繁に出没するようになったことから、私は3年前にその対応について質問をしました。
  「歴史」をテーマに観光客を積極的に誘致をしているエリアであり、周囲の住宅密集地にもあらわれており、その対応を求めた結果、日野方面を含む金華山において、質問した年度には54頭、平成23年度には22頭、本年度は期の途中でありますが、43頭を捕獲しており、御努力には感謝をいたします。3年間で100頭以上を捕獲し、そろそろ全滅をするかといえばそうはいきません。一度に平均5頭の子を出産するため、ネズミ算とまではいきませんが、減っていかないのが現状です。
  金華山には20年前までイノシシという生物が生息していなかったことははっきりしており、この外来種は金華山の生態系を壊し、緑の木々の根元も掘り起こして痛めています。
  そこで、農林部長にお伺いをいたします。
  金華山のイノシシは、いつごろ、どこから入り込んできたのか。また、この間の対応状況と生息数の推計についてお聞かせください。そして、繁殖が盛んで従来どおりの手法ではなかなか減っていかない中、今後の一層の対応方についてお尋ねをいたします。
  次に、岐阜公園三重塔の修復に関連してお尋ねをいたします。
  金華山のロープウエーに乗りますと、ガイドさんが最初に紹介するのが三重塔であります。「行く手の左をごらんくださいませ。木立の間から端正な姿を見せておりますのは朱塗り三重塔でございます。この塔は大正天皇御即位の記念として、日本画の大家、川合玉堂の発案により建立されたもので、付近には俳聖、松尾芭蕉が」云々という案内であります。また、三重塔正面の国登録有形文化財岐阜公園三重塔説明書によれば、大正天皇や川合玉堂の話に加えて、材木には濃尾大震災により倒壊した長良橋の古材が利用されていること、装飾を用いない古風で調和のとれた意匠は、明治神宮などを設計し日本建築史学の創始者と評される伊東忠太氏の手によるものであること等が記されています。三重塔は金華山、岐阜公園の魅力の1つとして広く親しまれているところであります。
  新年度の予算にその修復整備の調査費が計上されていることに関連して、都市建設部長にお伺いをいたします。
  まず、信長公の鼓動が聞こえる歴史公園を目指す岐阜公園再整備計画の中で、どういう位置づけの一角となるのか。この三重塔の大正天皇や川合玉堂などと関連した由来を知る人が意外と少なく、こうした史実を上手に打ち出して魅力アップに生かすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  また、現在は真下まで寄れなくなっていますが、近づいて周囲を一周したり、塔の1階に入れるよう整備し、例えば、由来などを示す写真パネルなどを1階に展示するなどすることで関心が高まって公園内の周遊性も増すと思いますが、そうした考え方について。
  そして、周辺から見ると木の枝が邪魔になるアングルが多く、枝を払うなど、効果を高めるために関連する整備もしっかり行う必要があると思いますが、どうでしょうか。
  以上、都市建設部長にお尋ねをいたします。
  最後に、まちづくり協議会の設置状況についてお尋ねをいたします。
  まちづくり協議会は、現在18の地区で立ち上がっていますが、新年度予算では新たに1カ所を加えて19地区ということになるようです。このまちづくり協議会のイメージの一例としては、自治会連合会に各種団体がつながり、場合によっては地域で貢献するNPOや企業、まちづくり団体も加わるという形のようです。
 まちづくり協議会の設置は平成16年に始まって、第1号は京町、島、岩野田北ということでありました。一方、岐阜市総合計画の中では、まちづくり協議会を地域の自治意識の向上や地域づくりの中核として、それを都市内分権を進めるに当たっての校区、地区の基礎単位として位置づけ、その複数地区が連携することで地域自治区になるとしています。
  都市内分権とは岐阜市の最も重要な基本政策の1つだと思っています。その点を考えると、その基礎単位が10年かかって50分の18ということでよいのでしょうか。手を挙げたいところだけどうぞという趣旨のものならば、現状で全く結構です、ただし、その場合には、総合計画の都市内分権の基礎単位を自治会連合会などとして書きかえなくてはいけません。書き改めずにこのまま推進するのであれば、歩みを速めなければいけないと思います。
  そこで、まず、企画部長に改めて総合計画や新市建設計画における都市内分権のあり方とまちづくり協議会の位置づけについてお尋ねをいたします。
  また、市民参画部長に現在の設置状況、10年が過ぎて3分の1しか設置できていない理由、企画部と調整して総合計画の都市内分権の基礎単位をまちづくり協議会から自治会連合会などに書きかえるのか否か。そして、それらを踏まえた今後の進め方についてお尋ねをいたします。
  以上で私の第1回目の質問を終わります。(拍手)

 

◯議長(高橋 正君)  休憩前に引き続き会議を開きます。
   質疑を続行します。松原和生君に対する答弁を求めます。市長、細江茂光君。
   〔細江茂光君登壇〕


◯市長(細江茂光君)
   ただいまの御質問にお答えをいたしたいと思います。
   今回の地方公営企業会計制度の見直しといいますのは、昭和41年以来でありますから、大変な長い間、古い制度であったということだと思います。この基準の見直しにつきましては、平成26年度から開始をしようということでありますので、かなり時間がなくなりつつあるという状況だと思います。
  今回の改定の見直しの背景でありますが、民間あるいは地方独立行政法人などで既に導入をしております会計基準、いわゆる企業会計基準というものとの整合性を図る必要がいよいよ生じてきたということであります。
  これによりまして、経営の自由度を高めること、また、さらには、経営状況の透明性を高める、確保することということなどができるわけであります。また、これによりまして、経営の実態をより正確に把握をして将来の経営戦略が立てやすくなるとか、あるいは周りの人たち、行政の場合でありますと、議会や市民の皆さんにとってわかりやすい透明性の高い財政制度ということになろうかと思います。
  いろいろ御指摘がありましたように、今回の変更点はいろいろあるようでありまして、全てで11点ぐらいあるそうでありますが、大きな変更点と思われる2点についてお話をちょっとしたいというふうに思います。
  1つは、借入資本金制度というものが廃止されるということであります。
  これ借入資本金制度というのは、ちょっと実は言葉が矛盾しているわけでありまして、資本金というのは借り入れではありませんでですね、一応これはリスクマネーですから、資本金として投入されたものは、基本的には、その借りたという気持ちは持たないというものが普通の感覚でありますが、この企業会計におきましては借入資本金制度というものがありました。今回それが廃止されるということであります。古い前の制度、現在の制度によりますと、この借入資本金というのは、実は資本金に計上するということになっておりまして、貸借対照表では、御存じのとおり、貸借対照表は左側、左側に借方、右側に貸方が、こう出ているわけでありますが、この貸方の中で資本金と、いわゆる借入金、負債という、この2つで成り立っているわけであります。その負債のところ、実は今までは、この借入資本金というものは資本金のほうにカウントされていたわけでありますが、これを今回は負債のほうへ移すということになるわけです。
  企業債、それぞれ公営企業におきましては企業債を発行しておりますが、この企業債について今申し上げたように、資本金から負債のほうに移すということになるわけであります。言ってみれば、その貸方のほうの資本金が減って負債がふえるという形になるわけであります。
  実際の運営上はどうかということでありますが、もともと私どもは、この借入資本金と制度上は呼んでいるわけでありますが、企業債につきましては、当然のことながら負債というふうに認識をしておりましたから、負債としての対応をしてきているわけでありますので、実態的な影響は特にないというふうに思っています。貸借対照表上の表示が変更されると、こういうふうに考えていいというふうに思います。
  それから、大きな変更点のもう一つは、引当金の計上であります。
  先ほど議員からも御指摘がありました。引当金につきましては、従来は計上するかどうかは任意ということでありました。あるいは計上するにしても、どこまで計上するかはそれぞれの自治体に任せると、あるいは、それぞれの公営企業体に任せるということでありましたが、今回からは、平成26年度からは、これが義務化されると。引当金についても義務化をすると。しかも、どうやって義務化するかについてのルールもですね、今回きちっと決められておりまして、そのルールに基づいて、引当金を計上しなければいけないということになるわけであります。
  平成26年度から始まるわけでありますから、これらの一定のルールに基づく引当金について平成26年度に一括して積む方法もありますと。一方で、今回対象になります引当金はいろんなものがあるわけでありますが、特に影響が大きいと予想されます退職給付引当金につきましては、これだけについては、15年間の分割計上もオーケーというふうに一応言われているわけであります。特に私どもで言いますと、上下水道事業部あたりのですね、190人近い職員がおりますから、これをですね、規定どおりに退職給付引当金をですね、一括して計上するとなりますと、かなり大きな40億円以上のインパクトということになるわけですから、これを平成26年度に単年度で計上をいたします。いたしますと、その単年度の収支では赤字になるということになるわけです。これは上下水道や病院などでは赤字になりますが、中央市場、中央卸売市場につきましては、今回の措置によって計上しなければいけない退職給付引当金は年度、単年度の黒字の範囲内でおさまるということでありますから、単年度赤字にはならないというふうに今見込んでおります。
  上下水道事業、さらには、病院事業につきましては、今申し上げましたように、退職給付引当金を一括で計上いたしますと、かなり単年度で大きな赤字が計上、単年度赤字が生じるということにもなりますので、先ほど申し上げたように、経過措置としてですね、15年間の分割をしていくのか、あるいは一気に一括計上するのかということ等についてですね、検討する必要があるというふうに思っているところであります。
  いずれにしましても、他都市がこれにどう対応していくのかということなども十分調査をして、今後、岐阜市の方針について今年度中、今年度の早いうちにですね、決定をしていかなければいけないと、こういうふうに思っています。
  それで、準備状況についての御質問がありました。
  これまで担当部局がですね、県が主催いたします説明会あるいは研修会等がありますので、それに参加をいたしまして知識の習得などに努めてまいりました。
  現在、事業運営や財務諸表の影響調査などを行っておりますが、いずれにせよ、平成26年度からは、この制度が導入されますから、一括繰り入れであれ、あるいは分割であれですね、システムが変わりますので、システムを改修するという作業に入る必要があると、こういうことでありまして、現在その作業に入りつつあるということであります。
  いずれにいたしましても、今回のこの制度の見直しに伴いまして、地方公営企業会計の経営が透明化されるということでありますし、民間企業、あるいは他都市との比較分析なども行うことも可能になってまいりますし、また、私たちみずからの経営努力、あるいは財務状態の一層の把握などが可能になってくるわけでありますから、将来の事業経営に十分生かしていけるということであろうと、こういうふうに思います。
  引き続き今後とも経営の健全な運営に努力をしてまいりたいというふうに考えております。

  〔私語する者あり〕 

 

◯議長(高橋 正君)  副市長、藤澤滋人君。
   〔藤澤滋人君登壇〕


◯副市長(藤澤滋人君)
  退職給付につきまして、異なる会計間での精算についての御質問でございました。
 現在、本市におきましては職員の退職手当の支払いは、当該職員が退職時に所属する会計において全額を負担いたしております。
 本市を除きます中核市40市の状況について申し上げますと、本市と同様に退職年度の所属先で支払っている市が21市、全体の2分の1を占めております。また、所属会計の在職年数に応じて案分して支払うという市もございまして、これが約3分の1市、3分の1ございます。そのほか一般会計で全額を負担すると、そういった市も10分の1と、このような状況でございます。退職手当の負担区分のあり方につきましては明確な定めがないために、本市を含めた各市がそれぞれの実情に応じて運用しているということでございます。
  議員御指摘の負担区分のあり方につきましては、現在、本市と同様の運用をしている市につきましても半数以上が見直しを予定していると、こんなような調査の結果も出ておりますので、私どもにつきましても、今後、企業会計の趣旨を十分に踏まえ検討を進めていくことが必要だと認識をいたしております。

 

◯議長(高橋 正君)  農林部長、市岡三明君。
   〔市岡三明君登壇〕


◯農林部長(市岡三明君)
   市街地に出没するイノシシ対策についての3点の御質問にお答えいたします。
  まず1点目の、金華山のイノシシは、いつごろ、どこから入り込んできたのかについてであります。
  金華山から日野・長森地域に生息するイノシシは、岐阜県哺乳動物調査研究会の会報によりますと、平成9年に日野の達目洞でその足跡が確認されたと記述されております。
  どこから入り込んできたのかにつきましては、近隣の山から移りすみついた説や、(笑声)

  〔私語する者あり〕 
  人為的に持ち込まれた説などがございまして、定かではございません。
  〔私語する者あり〕 
   続きまして、2点目の、対応状況と生息数の推計についてであります。
  イノシシなど野生鳥獣は、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」により基本的には捕獲することは禁止されておりますが、鳥獣による農作物などの被害が顕著な場合や生活環境への影響がある場合、有害鳥獣として捕獲することが認められております。そのため本市では、岐阜市猟友会との間において有害鳥獣捕獲業務委託契約を締結し捕獲を実施しております。
  金華山周辺の地域における対応状況でありますが、有害鳥獣駆除として平成20年度は25頭でありましたものが、平成22年度は54頭を、平成23年度は22頭、今年度は2月末までに43頭を捕獲しております。また、特に今年度から金華山周辺におきましては期間を拡大して捕獲を実施しているところであります。
  次に、金華山周辺における生息数についてでありますが、正確な頭数は把握できておりませんが、猟友会員の調査によりますと、現在の生息数は50頭ほどと推計されております。
  最後に、3点目の、今後の一層の対応についてであります。
  議員御指摘のとおり、市街地周辺におけるイノシシの出没は市民の生命や財産への危害も憂慮されますことから、捕獲の強化は急務であると考えております。しかしながら、新たなおりやわなの設置に当たりましては、地形的な要因でありますとか、市民の皆様の安全確保、あるいは犬や猫などのペットがわなにかからないような配慮など課題もありますことから、今後、岐阜市猟友会と十分協議を重ね捕獲の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
  特に金華山は国有林でありますことから、所管いたします岐阜森林管理署とも連携をしまして、対応してまいりたいと考えております。


◯議長(高橋 正君)  都市建設部長、日野和人君
   〔日野和人君登壇〕


◯都市建設部長(日野和人君)
   岐阜公園三重塔の修復に関する4点の御質問にお答えいたします。
  まず1点目の御質問、再整備計画における位置づけについてでございます。
  さきの質問者にも御答弁申し上げましたが、開設から130年を迎えた岐阜公園は、平成23年にその一部が国史跡に指定されております。
  そこで、信長公が活躍した戦国時代の歴史的価値の顕在化や近代の歴史的資産の活用や自然と調和した都市公園としての整備などを基本的な方針とした岐阜公園再整備の考え方及び方針を策定したところでございます。その考え方及び方針において、岐阜公園三重塔は近代に建てられたものではありますが、金華山の自然と調和したその古風な外観は中世の歴史的景観を向上させるものと考え、戦国歴史ゾーンに位置づけております。また、築100年近くが経過し老朽化が著しく平成11年に一部補修を行いましたが、これまで大規模な修理を行っておりませんことから、岐阜公園再整備の考え方及び方針の中で大規模な修理を行い、保存、継承を図ることといたしました。
  2点目の御質問、由来を効果的に打ち出すべきについてお答え申し上げます。
  岐阜公園三重塔は、大正6年に大正天皇の即位を祝う記念事業として市民の寄附によって建てられたものでございます。その材料には明治24年10月に発生した濃尾大震災により倒壊した長良橋の古い木材が利用されております。設計は、日本建築史学の創始者と評されている伊東忠太氏によるものでございます。
  その構造上の特徴は中央の心柱が4本の柱から鎖でつり下げられ、礎石から浮いた状態となっている懸垂式と呼ばれるもので、全国にわずかな例しか見られない方式を採用している点であります。また、三重塔建設場所を選んだのは少年時代に米屋町付近に住んだ岐阜市ゆかりの日本画家川合玉堂氏と言われており、その古風で調和のとれた意匠は金華山の自然と調和し、歴史的景観を形成していることから、平成17年には国の登録有形文化財に登録されております。
  このように著名な建築家や画家によって創造された三重塔の由来は、全国に発信できるものであり、積極的に活用してまいりたいと考えております。
  3点目の御質問、魅力の向上についてお答え申し上げます。
  三重塔の状況についてでございますが、平成11年度には屋根の第一層の軒先をはね上げるように支える木材の破損が明らかになりましたことから、部材の取りかえ工事を行い、瓦もふきかえました。しかし、当時既に設置されておりました屋根の下がりをとめる支柱を撤去するまでの修理は行っておらず、本来はないはずの支柱で屋根を支えている状況でございます。このように老朽化が著しく危険でありますことから、現在では三重塔の周りに柵を設置し、近寄ることを制限させていただいております。
  この全国に誇る歴史的資産である岐阜公園三重塔を長く保存、継承していくため、文化庁の支援をいただき、新年度には調査と修理のための設計を行う予定としております。
  類似する他の塔では、内部を一部公開しているところが少ないため、塔の近くまで寄りつけたり、中に入ることができるようになればよいとは思っておりますが、特殊な構造の建物であること、また、古い木材が使用されており部材の強度不足も懸念されますことから、修理や補強方法及びそれに要する費用などを調査した上で、その活用方法について検討してまいります。
  最後に、4点目の御質問、周辺樹木の伐採についてお答え申し上げます。
  岐阜公園三重塔は、四季折々に変化を見せる金華山の樹木と朱色の塔が鮮やかなコントラストをなし、大変美しい歴史的景観を形成しております。これまでも3年に1回程度は剪定を行っておりましたが、周辺の樹木が成長しておりますことから、岐阜公園三重塔の優美な姿が金華山に映えるよう修理工事とあわせて周辺樹木の剪定を行っていきたいと考えております。

  〔私語する者あり〕 

◯議長(高橋 正君)  企画部長、伊藤彰啓君。
   〔伊藤彰啓君登壇〕


◯企画部長(伊藤彰啓君)
   まちづくり協議会の設置状況に関連し、総合計画や新市建設計画における都市内分権のあり方とまちづくり協議会の位置づけに関する御質問にお答えいたします。
  かつての高度成長期のような時代に比べ、市民の皆様のニーズは今やさまざまに多様化し複雑化しております。このような多様化したニーズに効率よく対応していくための仕組みの1つが都市内分権であります。これは岐阜市を幾つかの区域に分け、この区域が一定の権限を持ってその区域内の行政サービスを初めとするさまざまなことを決定していく仕組みであります。この都市内分権の考え方等につきましては総合計画及び新市建設計画で位置づけているところでございます。
  まず、旧柳津町との合併に際して、平成16年11月に策定された新市建設計画における都市内分権の基本方針では、第1ステップとして全市域を対象とし現行の地域自治単位または小学校区、もしくは中学校区を基本に協働によるまちづくりを担う地域の自主的な組織の確立を目指すとされております。
  また、現行総合計画の基本計画2008及び今年度策定を進めてまいりました次期基本計画である総合計画2013においては、「地域生活圏と地域コミュニティのイメージ」図の中で都市内分権の基礎的な組織として自治会連合会地区を単位としたまちづくり協議会が示されているところです。こうしたことから自治会連合会を中心に各種地域団体が連携した組織であるまちづくり協議会、あるいは、その連合体が都市内分権の受け皿として、その区域のさまざまな事柄を決定するための中心的な役割を担う組織になっていくものであると考えます。


◯議長(高橋 正君)  市民参画部長、渡邉貴正君。
   〔渡邉貴正君登壇〕


◯市民参画部長(渡邉貴正君)
   まちづくり協議会に関する3点の御質問にお答えいたします。
  まず1点目の、まちづくり協議会の現在の設置状況等についてでございますが、平成16年度にぎふ躍動プラン・21の基本理念をもとに岐阜市協働のまちづくり指針を策定し、市民相互の協働、市民と行政との協働による地域が主体的なまちづくりを進める仕組みとして、平成16年度から平成19年度まで地域力創生モデル事業を実施いたしました。
  これにより、この3年間で自治会連合会の単位となっている50地区のうち、9地区においてまちづくり協議会が設立されました。
  また、平成19年4月には岐阜市住民自治基本条例を施行し、平成20年度から地域力創生事業として本格実施いたしました。 現在、市内50地区のうち約3分の1の18地区でまちづくり協議会が設立されております。
  それぞれのまちづくり協議会においては、自治会連合会を核として各種団体が協議の場を設け、安全、安心、福祉、子育て、防災など、より具体的な地域課題について話し合い、住民みずからがその解決へ向け活動しておられます。
  まちづくり協議会の設立には地域として解決したい課題を十分に共有することや、地域のまちづくりの組織化、設立に向けて、地域全体の機運の高まりが必要であることから、それぞれの地域の実情、特性、資源等を十分に勘案しながら取り組みを進めているところでございます。
  次に、2点目の、都市内分権の柱の位置づけについてでございますが、まちづくり協議会の取り組みは岐阜市住民自治基本条例第15条に位置づけられており、都市内分権の制度を地域コミュニティーの立場から支える基礎的単位として、中心的な役割を担う組織であると考えております。こうしたことから、より広く地域住民の受け皿となるような横断的な組織としてまちづくり協議会の設立について、引き続き進めてまいりたいと考えております。
  3点目の、今後の進め方についてでございますが、まちづくり協議会の設立に向けて住民の機運を高めるためには、地域の課題や将来像を住民みんなで共有する過程が大切であると考えます。地域力創生事業と連携し、また、岐阜大学との共同研究事業として、平成24年度よりソーシャル・キャピタル推進事業を実施し、まちづくり協議会が設置されていない地域に対しても働きかけを行っております。
  活動の担い手へのアンケートや聞き取り調査を通じた課題抽出、住民の意見交換会を開催して地域の課題や将来像を住民が共有し、広く市民運動につながるような支援を行っております。
  今後こうした取り組みを行うことにより、地域の理解を得ながら市内50地区の全てについてまちづくり協議会を設立することを目指し、活動を通じて人がつながり、地域の未来を住民みずからが描く住民自治を推進したいと考えております。

   〔「議長、22番」と呼ぶ者あり〕

◯議長(高橋 正君)   22番、松原和生君。
    〔松原和生君登壇〕


◯22番 (松原和生君)
   それぞれ御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
  少しだけですが、要望と再質問をさせていただきたいと思います。
  まず、地方公営企業会計制度の見直しについてでありますが、今回の制度の見直しに伴って企業会計の経営の透明化が図られるわけであります。上水道、下水道、中央卸売市場、市民病院の各部局におかれましては、財務状態を把握する材料として、しっかりと生かしていただきながら、また、説明責任を果たしていただきながら経営の健全な運営に努力をしていっていただきたいというふうにお願いいたします。
  退職給付の在籍年数による会計間の精算についてですが、御答弁では、今後、企業会計の趣旨を十分に踏まえて検討を進めていくと、こういう話です。会計制度が変わる、1項目めの質問で申し上げましたように、制度が変わる平成26年度がちょうどよいタイミングかとも思いますので、そうしたことも頭に置いて御検討を願いたいというふうに思います。
  市街地に出没するイノシシ対策についてですが、岐阜市、各務原市の市境、尾崎団地ではたった1頭のことで新聞にテレビに大騒ぎです。御努力は十分認識しておりますが、私が地元の代弁者として申し上げている、こういう話だけではなくて、岐阜公園、そして、金華山は、今定例会でも何度も名前が登場している岐阜の観光の柱であります。事故があってはいけません。山狩りとか、より強力な手段、こういうことができるかどうかわかりませんが、本当に強力な手段を持って全滅をさせて、もとの金華山に戻すぐらいの意気込みで取り組みをお願いしたいというふうに思います。

  〔私語する者あり〕 
   岐阜公園三重塔の修復に関連してであります。
  提言した内容について前向きに検討いただけるという話ですので、答弁には了解をいたします。岐阜公園三重塔にまつわる史実の中で、大正天皇、こちらは本当に全国民があがめるところでありますが、岐阜ゆかりの、岐阜だからこそという人物はやはり川合玉堂画伯であります。川合玉堂は塔を建てるのに最もふさわしい場所としてこの地を選びました。この川合玉堂は明治6年、愛知県木曽川町に生まれた後、8歳から18歳までの少年時代を伊奈波神社にほど近い米屋町で過ごしました。
  岐阜学校、昔の学校の区分けですから、岐阜学校、そして、岐阜尋常高等小学校、全て現在の岐阜小学校の前身の名前でありますけども、ここを卒業してから弱冠34歳の若さで文部省美術展の審査委員に任命され、1940年には文化勲章を授与されるなど、日本画壇の第一人者としてそうそうたる実績を残しています。
  多感な少年時代をこの岐阜の地で過ごした玉堂は、岐阜尋常高等小学校に通うころから絵に親しむようになり、晩年のインタビューで岐阜での少年時代は父親と山で景色を眺めながらお菓子や弁当を食べるのが本当に楽しみで、そのころから自然が大好きになったと語っているように、このころに生涯にわたって自然を愛し、描き続けた画家川合玉堂の基礎が築かれていったのだと思います。
  岐阜公園三重塔とのかかわりとあわせて、ぜひ岐阜ゆかりの偉人の一人として光を当てたい人物でありますし、その名声を観光面でも活用できればと思います。
  そこで、教育長に1点、この川合玉堂画伯の岐阜とのかかわりと功績、評価についてお尋ねをいたします。よろしくお願いいたします。
  最後に、まちづくり協議会の設置状況についてであります。
  私は、個人的には、現状で地域の人々がしっかりと連携できており、うまくいっている地区を身近に見ているので、そういう意味では、どうしても必要とまでは申しません。ただ、都市内分権の基礎単位を総合計画のとおり、まちづくり協議会とするか、自治会連合会などに戻すのか、この点について確認をしたかったのであります。
  御答弁がありました。その点を踏まえて、今後の取り組みについてよろしくお願いしたいと思います。ただ、これが地域のそれぞれの役員への負担増につながっていく、こういう可能性があることについては頭に置いておいていただきたいものだと思います。
  そこで、1点お尋ねをいたします。
  市長の提案説明では、コミュニティ・スクールをこれまでの8校から22校にふやし、教育長によると、平成27年度には全ての小から中学校にまでに広げたいという話です。現在の8つのコミュニティ・スクール、学校運営協議会のメンバーを見ますと、自治会連合会長、PTA会長、学校長は必ず入るほか、自治会連合会の副会長、公民館長、老人クラブ連合会長、女性の会会長、子ども会会長、体育振興会会長、民生児童委員会長、交通安全協会支部長、青少年育成市民会議の会長、社会福祉協議会の副会長、会長が多分連合会長だからと思いますが、社会福祉協議会の副会長、そして、地元企業の代表などが委員となっています。これは全部がそこに入っているんじゃなくて、それぞれの8つのところから、それぞれピックアップしたものですが、今言ったような皆さんが委員となっています。つまり、そのままでまちづくり協議会となるような顔ぶれであります。地域のトップ会議としては、自然にそういうメンバーになると思われます。私もこれまで5年間保護者の立場で地元の小学校のコミュニティ・スクールの委員を務めてきましたが、年10回程度の学校運営協議会と同じく、10回程度ある専門部会にも出席をしなければいけません。中学校にも始まれば、さらに回数はふえると思われます。自治会連合会の三役や各種団体長にとって、これまで単組の会議だけだったものが確実にふえて、公民館や学校へ行く回数が2倍、3倍となり、そして、中学校のコミュニティ・スクール化やこのまちづくり協議会が立ち上がってくると、4倍、5倍ということにもなりかねません。その結果、一つ一つに振り向ける力が散って弱くならないか、片手間にならないか、そうした負担のうわさがネックになって、自治会や各種団体役員への就任が、人選が、今まで以上に敬遠されないか、そして、まちづくり協議会の立ち上げが遠のかないかなどと心配をします。地域のトップ会議と言うべき会議の種類を市の呼びかけでふやすに当たって発生するであろう問題でありますが、そうした心配に対する御助言について、ぜひ藤澤副市長にお尋ねをしたいと思います。
  以上で2回目の質問を終わります。

◯議長(高橋 正君) 教育長、早川三根夫君。
   〔早川三根夫君登壇〕

◯教育長(早川三根夫君)
   岐阜公園三重塔の建設にかかわった川合玉堂画伯についての御質問についてお答えいたします。
  岐阜ゆかりの日本画の大家である玉堂先生は、我がふるさとの誇るべき芸術家です。議員の御紹介にもありましたが、玉堂先生は、明治6年、現在の愛知県一宮市に生まれ、明治14年、8歳のとき岐阜の米屋町に両親とともに引っ越し、現在の岐阜小学校に入学されました。少年時代から絵を描くことが得意で、明治20年に小学校を卒業すると、京都で本格的に日本画を学び始められました。明治29年には上京し、当時の日本画の大家である橋本雅邦画伯のもとで学び、明治40年に東京府勧業博覧会に出展した「二日月」が好評を博し、この年に開催された現在の日展の前身である文部省美術展覧会の審査委員に任命されました。その後、大正4年に現在の東京芸術大学の日本画科教授、大正8年には帝国美術院、現在の日本芸術院ですか、その会員になり、昭和15年には文化勲章を受章されております。玉堂先生は岐阜を深く愛していらっしゃり、80歳になられたとき、岐阜は生まれ故郷も同様であるとして、統合前の金華小学校に富士山を描いた絵を、京町小学校には三保の松原を描いた絵を寄贈していただき、現在は岐阜小学校の子どもたちが芸術文化に触れる貴重な題材となっております。
  岐阜の地を離れて多くの時が過ぎても、なお、岐阜との結びつきを生涯にわたって持ち続けられた玉堂先生にとって、小学校6年間の岐阜での風景と生活が深く心に刻まれたものだと考えております。こうしたことから歴史博物館では、平成20年に「川合玉堂と金華の人たち」というテーマで玉堂先生の作品や先生と地元の人たちとの交流をつづる書状などを展示し、多くの方に観覧していただきました。
  玉堂先生は岐阜市が誇る芸術家であり、先生を顕彰することはまちづくり、人づくりにとって大変意義のあることだと考えております。今後も玉堂先生に関する資料の調査を進め、その成果を展示等で紹介してまいりたいと存じております。

◯議長(高橋 正君) 副市長、藤澤滋人君。
   〔藤澤滋人君登壇〕

◯副市長(藤澤滋人君)
   まちづくり協議会に関する御質問でございました。
  コミュニティ・スクールは、自治会連合会長などの地域住民の代表の方、あるいはPTA会長等の保護者の代表、校長先生など学校の代表、そうした委員構成によりまして学校運営協議会が設置されているところでございます。
  一方、まちづくり協議会も自治会連合会、PTAあるいは体育振興会など各種団体の代表者によって、その役員が構成されております。両方の組織について申しますと、全く同一の委員構成というわけではございませんけれども、かなりの部分で委員の方が重なり合っていることは承知しているところでございます。
  また、会議の回数につきましても議員が御指摘されましたとおり、地域によって異なりますけれども、まちづくり協議会、あるいは学校運営協議会がそれぞれ年間10回程度開催されている地域もあるということでございますので、各種団体の代表など地域の担い手となっておられる方にとって負担となっている場合もあろうかと考えております。しかしながら、一方で、地域の各種団体の代表が頻繁に出会い、意見を交換する機会がふえると、こんなことでもございますので、コミュニケーションが密になるとともに、地域の問題も共有しやすくなるということで、こうしたことによりまして、地域の課題を協力により解決するまちづくり協議会を設立することについて好ましい影響があるのではないかとも思うところでございます。
  なお、議員の御質問にございましたように、負担を少しでも軽減するために、例えば、同日、その会議をですね、同日同じ会場で時間をずらして開催したり、あるいは1つの組織から委員を選出する場合は違った方に代表で出ていただくなど、そんなことが考えられるところでないかと思います。
  いずれにいたしましても、自治会連合会を初め、地域の各種団体の代表の皆さんには御負担をおかけしますけれども、市民参加の市民主体のまちづくりに一層の御協力を賜りたいと、このように考えております。

  〔私語する者あり〕